Focus on Women

設備業・工事業としては同規模の他社に比べ、積極的に女性の社員採用を行う三企。そこにはどのような狙いや効果があるのか。三企の構造改革を支える女性スタッフ、外部採用の第一号として入社した村上さんと丸山代表・絵梨子さん夫妻に話を聞いてみました。

親父が社長で母が経理、会社帰りに子どもが会社に寄る。あのアットホームな良さを残したまま、女性が働きやすい会社にしたかった。

―三企は女性採用に積極的ですが、どんな狙いが?
丸山和:事業を継いだ時に、職人さんが図面を書いて管理業務をやるという一大転機があって。とはいえ職人さんは現場行くのが仕事だから、この体制を実現するには中でサポートしてくれる人が必要だったんですよ。別にその業務をやるのは男性でも良いけど、できれば女性を増やしたいなと。僕たち中小の設備業・工事会社って、どうしても「社長の奥さんが経理、あと事務のおばちゃんが一人いるかどうか」がありがちなパターンなんだよね。自分がまさにその環境で育って、学校終わったら親父の会社寄る、職人さんに遊んで貰うっていう。親も楽できて、自分も社会性が身についたと思うから、そのアットホームさは残したまま、規模を拡大したかった。あの「会社で子育てする」みたいなスタンスは零細企業の特徴でもあるけど、きっと21世紀の女性にとって働きやすい職場でもあるはずだぞと考えたのがキッカケですかね。

―いきなり答えが長いですね(笑)では聞く相手を変えて、村上さんはどんなご縁で入社されたんですか?
村上:私は福島出身で、当時東京で働きたいと思っていたので、東京で事務職なら極端な話どこでも良いかなと(笑)面接に行ったら赤ちゃんもいて、確かにアットホームさはすごく感じました。面接される側が妙に緊張されていたのと(笑)、帰る時に雨が降ってきて、傘をくれてうれしかったのを覚えています。人が暖かい会社だなと。それが決め手でした。
丸山絵:今は女性も増えましたが、当時は総務は妻の私、会長は代表のお母様ということで、女性社員を新しく採るということに不慣れで、面接は緊張しました(笑)

直接現場に行くことは無いですが、書類を担当しているので知識はあったほうが良いかなと思って。

―男性が多い職場ではあると思いますが、村上さんが感じた入社後のギャップなどは何かありますか?
村上:職人気質というか、最初はみんな怖い人なのかと思って身構えていたんですけど、みんな優しくてポジティブなギャップはありました。少し長く接してみるとぶっきらぼうに見えた人も、ただシャイなだけだったり(笑)

―WEBで資格取得者の数を公開されたり、資格取得に力を入れられてますが、村上さんのような事務の方も資格取得されるのですか?
村上:二級管工事の資格を取りました。直接現場に行くことは無いですが、書類を担当しているので知識はあったほうが良いかなと思って。会社で勉強しているとみんな面倒臭そうに教えてくれたりして(笑)、無事取得できました。
丸山絵:資格試験に挑戦する一方で、クリスマス時期には地域の皆さんに楽しんでいただけるよう会社でイルミネーションに力を入れているのですが、その飾り付けだったり、社員のサプライズバースデーの準備だったり、経営戦略会議の資料作りだったり、musubi事業では商品開発まで担当したり、幅広く活躍して貰っています。あとは社長が持ってくる無理難題を聞く(笑)

大体全部反対されて潰される。社員が社長に堂々とダメ出しができる自由でフラットな組織だって。これは書いといて欲しいな(笑)

丸山和:無理難題を聞くと言うと僕が悪者みたいだけど、本当に「聞く」だけですからね。僕は経営者で他の経営者など人に会うチャンスが多いので、どうしてもそこで出た発想や気付きを会社に持ち帰ってぶつける相手が絵梨さんや村上さんになっちゃう。聞いてはくれるんですけど、大体反対されて潰されるっていうね。「ダメです」「それは無理」みたいな。これ書いといて欲しいな。社長に堂々とダメ出しができる自由でフラットな組織だって(笑)まあ、でも女性が増えて良かったと思うことは本当に多いですよ。昔は安全協議会と呼んでた会議が、女性が増えてカッコ付けて今は経営戦略会議、定例会という名前になった。そこで大体社員のサプライズバースデーやるんだけど、それ自体女性ならではの発想だし、やっぱり会議で笑い声や拍手があるのは素敵だよね。

―え?毎回定例会でサプライズバースデーを開いてたら、それもうサプライズでも何でも無いですよね(笑)

丸山 和博|Kazuhiro Maruyama
株式会社三企・代表取締役。創業者である父の急逝を受け、事業承継。工事会社には珍しい、女性社員を多く雇用するメリットを「社内で僕のアイデアは大体女性の反対を受けて潰されるからね」と笑顔で嬉しそうに語る少し不思議な男。
丸山 絵梨子|Eriko Maruyama
三企では総務を担当。産休を挟みながら子育てと仕事の両立に取り組み、現在も四児の母として奮闘中。笑顔からは想像できない厳しいツッコミで、代表の思いつきを最初に受け止め、火を消して、ブラッシュアップする大役を担う。
村上 結子|Yuiko Murakami
企画や広報を担当。職人のサポートからmusubiなど新商品の企画開発まで、設備業者の事務職という枠を超えて幅広く活躍している。縁戚以外では初の女性社員で、面接時は採用する側のほうが何故か異常に緊張していたという逸話も。